軽くて暖かいパシュミナの原材料について
パシュミナという名前は聞いたことある方も多いと思います。
でも実際、本物のパシュミナについて知らない方が多いのです。
そこで今回は、軽くて暖かいパシュミナの原材料についてご紹介していきます。
パシュミナとは?
パシュミナとは、繊維の宝石として、世界中の人々から愛されています。
カシミール製のパシュミナ山羊の毛で編まれた織物は、紀元前206〜23年まで中国の歴史や紀元前111年の他の資料の中でも言及されているのです。
また、カシミールのカシミヤ山羊のパシュミナは、西暦1世紀にカエサルシーザーとネロのローマ帝国にも届いたという記録が歴史上残っています。
カシミール製の織物を表すパシュミナは、その素晴らしい品質とそのユニークさ、美しさと暖かさで、歴史を通して古くから多くの人々に知られ、重宝されてきたのです。
軽くて暖かいパシュミナの原材料について
パシュミナの原料
パシュミナのもととなるカシミヤ山羊は、チベットのプラトーとラダックの近く、海抜14000フィート以上の高度で何世紀にも渡って飼育されている山羊のことです。
現地では、地域の名前をとってチャングラ山羊と呼ばれています。
カシミヤ山羊の毛は、冬には-40℃にもなるヒマラヤ山脈の極寒の冬に生き残るために身につけた毛となっています。
通常冬以外のときは、パシュミナ山羊は硬くてゴワゴワした外毛を身にまとっているのです。
しかし寒くなってくるとカシミヤ山羊は、自分の命を守るために、硬くゴワゴワしたカシミヤ山羊の外側に長く垂れる外毛の内側に柔らかい「うぶ毛」を密集させるように生えさせます。
そのカシミヤ山羊のうぶ毛は気温の下がる秋に生え始め、冬期には体にピタっとくっつき-40℃にもなる厳しいヒマラヤの寒気を遮断する役目を果たすのです。
これがカシミヤ山羊にとって外毛と内毛の二層の体温維持構造となり、-40℃にもなるヒマラヤの極寒の地であったとしてもカシミヤ山羊が生き残っていくために身につけました。
そして、カシミヤ山羊の内毛「うぶ毛」こそが、パシュミナの原料になるのです。
その後パシュミナ山羊は、その内毛によってヒマラヤの極寒の寒さを生き抜くことができます。
春になって気温が上がってくる夏になる初夏の4・5月頃、年に1回、カシミヤ山羊の内毛はだんだんと解きほぐれてきます。
そうするとパシュミナ山羊は肌に痒みを覚えるようになり、とげとげした木に体を擦りつけて、自分の体の内側に生えたその内毛を取るのです。
カシミヤ山羊は夏をむかえるにあたり、極寒の冬に生き残るのに必要とした内毛をこそげ取る必要があります。
遊牧民たちは、そのようにカシミヤ山羊の内毛が抜け落ちる前に、大きなクシでその内毛だけを梳くとるのです。
そのとき採取される内毛は、カシミヤ山羊1頭から約320〜520gのパシュミナの原毛が採れます。
そしてカシミール州の州都であるスリナガルの工房で、カシミヤ山羊に一年を通してついた汚れや一緒に採れた刺毛やゴミなどを取り除き、何度も洗浄して、細くて長い毛だけを選別してパシュミナの原糸にするのです。
一般的にカシミヤ山羊は、3歳から5歳ぐらいが一番いい産毛が採れるといわれています。
軽くて暖かいパシュミナの原材料についてまとめ
パシュミナを希少なものとするのは、原料であるカシミヤ山羊の毛の採取の難しさ、繊細で細い産毛を紡ぐ作業がすべて手作業で行われるからです。
それでもパシュミナの肌触りのよさは、他の製品では味わえないものとなっています。
高価なものですが、軽くて暖かいパシュミナは、大切な方への贈り物として喜ばれること間違いなしです。